免疫グロブリンの人工化の現状と治療薬への展望 Current Situation
of Synthetic Immunoglobulins and Their Therapeutic Approach
鈴木和男 (千葉大学大学院医学研究院 免疫発生学・炎症制御学、国立感染症研究所) Kazuo Suzuki
(Chiba University Graduate School of Medicine & National Institute of Infectious
Diseases) |
| 川崎病の治療は免疫グロブリン製剤大量療法(IVIg)になってから冠動脈瘤の形成など重篤な合併症は激減し、その治療の有効性が実証されている。近年、2 g/Kgの単回投与による治療が導入され、より効果的な治療法として確立されている。一方、高度高齢化社会に入ったわが国では、成人での血管炎やリウマチなど生体防御異常による疾患が増加し、これらの治療は、ステロイドパルスなどによっており、高齢者には危険性が高いことから抗体医薬など新たな治療法の開発が強く望まれている。川崎病と同様にMPO-ANCA関連血管炎は、日本での発症率が欧米より高いことから日本での血管炎に適した治療法としてIVIgが要望されている。このように、乳幼児の川崎病、高齢者に多発する血管炎の治療法としてのIVIgは重要である。また、免疫グロブリンの対象疾患が増加し、その需要の増加や、安全性確保の点からも、人工化することが今日的急務となっている。また、作用機序が不明な免疫グロブリン療法の治癒機転を解明することも必須の問題である。そこで、われわれは、力価評価のための血管炎・腎炎の疾患モデルマウス系を樹立し、その、血管炎疾患モデルマウスを対象とし、マウス型人工グロブリンを開発しその治療効果が有効であることを確認した。次いで、ヒト型製剤化を目指した人工化免疫グロブリンの作製と臨床応用への準備を開始した。現在、ヒト型免疫グロブリン製剤の人工化分子を作製しており、その安全性およびin vitroでの力価・安全性評価系を開発中である。これから、臨床応用に向けた試験を開始する予定である。 |
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